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2016年5月28日 (土)

20160528 鍼灸は魔法や奇跡ではない

鍼灸治療に関するネット情報や書籍を見ていると、
第三者からすると、まるでと東洋医学の神秘や
奇跡のように取り上げられるていることがあります。

車いす生活を宣告された人が歩けるようになった、とか
手術を宣告されていた人が手術せずに治った、など。
ガンが治ったというのはあまりにも胡散臭いのですけど・・・。

上記のような紹介記事を見ていると、
確かに鍼灸を知らない人からすれば、魔法や奇跡のように
思ってしまうのも不思議ではありません。

しかし、手品にもタネがあるように、鍼灸は奇跡や魔法
ではなく、鍼灸にそういう効果があるのには、
医学的な理由があるからです。

そこで、当院にいらした患者さんの症例を
個人が特定できない範囲で紹介したいと思います。
書籍では、東洋の神秘や奇跡のように紹介されている
症例に近いものです。



1)数年前から歩行困難。

腰部脊柱管狭窄症と診断され手術をするが
まったく症状が改善されない。

しかし、一回の鍼治療で、その場で杖を使わずに
歩けるようになり、2回の鍼治療で一人で散歩
できるまでに回復。


2)20年以上前から股関節に痛み。

再度痛みが出たときは手術を勧められる。

しかし、一回の鍼治療でその場で痛みがなくなり、
そのまま終了。


3)10年以上前から顔面の痛み。

ブロック注射で痛みが軽減するがすぐに再発。

しかし、2回の鍼治療で痛みが消失。



4)肩の強い痛み。

画像診断では原因不明。理学療法士の
触診でも原因がわからず、精神的なものと診断される。

しかし、一回の鍼治療でその場で痛みが軽減。
3回の鍼治療で痛みが消失。




5)手術困難と診断された腰痛。

すでに数回の腰椎ヘルニアの手術をしており、
体力的にも手術は困難。痛みのため歩行も
ままならず、下肢に廃用症候群が出始め、
日常生活に介助が必要になっている。

しかし、2回の鍼治療で痛みが軽減。
通常の歩行ができるまでに回復。




6)立上れないほどの下肢の痛み。

画像診断では原因不明。おそらく坐骨神経痛だろう
との診断だが、日常動作に介助が必要となり始める。

しかし、一回の鍼治療でその場で立上れるようになり、
2回の鍼治療で、一人で通常の生活が送れるまでに回復。






さて、前述のようにこれらの症例は、
いわゆる東洋医学の奇跡のように紹介されても
おかしくない症例だと思います。


しかし、これらは奇跡でも魔法でもなんでもなく、
すべて医学的な共通する原因と、回復した理由が
あります。


その原因とは、「筋肉の攣縮」、つまりその動作をする
筋肉の一部が痙攣をおこしてしまい、正常な動作が
できなくなったことです。


そして症状が軽減した理由は、鍼治療、
具体的には局所単収縮鍼療法によって、
原因となっている筋肉が正常に動作できるように
なったからなのです。



それでは、種明かしです。

上記の症例について、ひとつずつ鍼治療方法を
ご紹介します。


1)数年前から歩行困難。

⇒ 腰痛を伴っていること、すり足歩行の動作から
推測して、大腰筋に攣縮があると判断。
大腰筋刺鍼をしたところ、左下肢へ放散する刺激。
この刺激が局所単収縮によるものと推察される。
置鍼後、腿上げができること、立上がり動作も
問題ないことを確認し歩行にトライ。
歩行にも問題なくなったことをその場で確認。



2)20年前から股関節の痛み。

⇒ 画像診断では股関節に異常がないと診断されて
いることから、股関節周辺の筋肉に攣縮があると推測。
下前腸骨棘周辺から外側広筋にかけて触診し
索状硬結へ刺鍼により局所単収縮鍼療法を実施。
痛みのあった動作をしても痛みが出ないことを確認。


3)10年以上前から顔面の痛み。

⇒ 前歯ぐきに痛みがあるため、顔をしかめていると
痛みが出ることから、上唇挙筋や口角挙筋に攣縮が
あると推測。
硬結への刺鍼により、局所単収縮鍼療法を実施。
顔面を動かしても痛みが消失したことを確認。



4)肩の強い痛み。

⇒ 僧帽筋の辺縁に沿って細い索状硬結を認める。
ここの攣縮が痛みの原因と推測。
3回の局所単収縮鍼療法により痛みが消失し、
普通の生活が送れるようになる。



5)手術困難と診断された腰痛。

⇒ 腰椎L4、L5周辺に索状硬結を認める。
ここの攣縮が痛みの原因と推測。
2度の局所単収縮鍼療法により痛みが消失し。
一人での歩行が可能となった。




6)立上れないほどの下肢の痛み。

⇒ 重量物を持ち上げた際に、思いっきり踏ん張って
から症状が出たことから、大腿前面の筋肉に原因が
あると推測。
触診では特に大腿外側の筋に索状硬結を認められ、
ここに2度の局所単収縮鍼療法を実施。
椅子からの立ち上がり動作を、痛みなくできるように
なったことを確認。




鍼灸治療、特に鍼治療は、筋肉が原因となっている
動作不良や痛みには、驚くほどの効果があります。


上記症例以外にも、中学生、高校生のスポーツ障害で、
「しばらくは安静に」と診断された症状が
鍼治療2日後には試合に出て走れたこともあります。



股関節の痛みに対して、骨盤がずれていることが
原因と言われて、骨盤矯正の施術を受けたが
まったく痛みが軽減しなかったのに、
恥骨筋の攣縮への局所単収縮鍼療法で、
その場で痛みが軽減した例もあります。



鍼治療はなかなかハードルが高いと思います。
しかし、「原因がよくわからない」痛みがあるときは、
一度受けてみることをお勧めします。



ちなみに私、所謂ゴッドハンドと呼ばれるような
秀でた技術は到底持っていません。
わずか臨床経験5年目の、エンジニアあがりの
駆け出し鍼灸師です。

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2016年5月25日 (水)

20160525 局所単収縮鍼療法

高校生のとき、医大の偉い先生の講演を聞いたことが
あります。

詳しい内容は忘れてしまいましたが、印象に残った言葉を
一つ覚えています。

「予め知識のあるものにしか、それに気づくことができない。」
とか、そういう内容のことでした。

どんなに重要な現象でも、それに対する予備的知識が
なければ見逃してしまう、ということです。



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当院の鍼治療方法は、二つの技術を組み合わせて
行っています。

一つは、浅野周先生が確立された北京堂鍼灸。
もう一つの技術が「トリガーポイント鍼治療」です。

最近、トリガーポイント治療が流行りのようになっていて、
遠隔治療や痛みの中心を指圧するような手技も紹介されています。

しかし、当院で行っているのは、局所単収縮を使った
トリガーポイント鍼治療。

これは、痛みの原因となっている筋の中心に的確に
鍼を刺して局所単収縮を起こして痛みを取り除く方法です。

ですから、いまの状況では、トリガーポイント鍼治療というよりも
「局所単収縮鍼療法」と呼んだほうが正確かもしれません。




この局所単収縮鍼療法。
実は、専門学校の授業で習ったり、
誰かに習って始めた鍼治療方法ではありません。

局所単収縮という言葉や現象があることは知っていたのですが、
それがどのように影響するのかは、
私自身は把握していませんでした。

ところがあるとき、患者さんの肩こりの鍼治療をしていて、
筋肉がビクッと動くのを見つけました。
このときは、「これが局所単収縮かぁ。」
程度にしか思っていませんでした。

しかし、私自身が腰が痛くなって
自分で腰に鍼を刺したとき、偶然、腰の筋がビクッと
動いて痛みがなくなったことを体験しました。

このとき、「これは使える!」と気が付きました。

その後も、歩き過ぎて痛くなった股関節やふくらはぎ、
親指を使い過ぎて痛くなった拇指球筋など、
自分の身体でいろいろと試してその効果を確認しました。

また、どうしてこういう効果があるのかを、
書籍等を調べて確認しました。




それから、様々な症状を訴える患者さんに対して
この局所単収縮鍼療法を試してみたところ、
驚くほどの効果があることがわかりました。

顔面の痛み、五十肩、痛みを伴う肩こり、
慢性腰痛、ぎっくり腰、背部痛、テニス肘、ゴルフ肘、
股関節の痛み、殿部痛、ふくらはぎの痛み、等々。
ほぼ全身の骨格筋の痛みに適用できることが
わかったのです。

しかも、その場で、一度で劇的な効果があるため、
施術を受けた患者さんが驚くほどです。




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「局所単収縮」という言葉や現象を知らなかったら、
ここまでの施術効果はなかなか辿り着けなかったかも
しれません。

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