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2014年11月25日 (火)

20141125 鍼灸はソリューション・ビジネス

以前サラリーマンだったころ、私は研究部門から
スピンアウトした、新規事業開発部門のエンジニア
として働いていました。

その部門では、光通信技術で画期的な発明をし、
それをビジネスとして立ち上げようとしていました。
それまで世の中になかった、ホントに「画期的な技術」
だったのです。

そこで私達は、その技術を使った製品を開発すべく、
いろんな社内の部門やお客さんと見込めそうな
社外のいろんな部門へ、私達の技術を紹介する活動を
していました。

そのときのお客さんの反応は、みなさんほぼ同じで
「素晴らしい技術ですね。弊社の製品にどうやったら
 展開できるか、検討させて下さい。」

そしてしばらくして、『いかがでしょうか?』と聞いても、
「なかなかいいアイデアが出ませんで…。」
と回答されるのです。

そんな調子で、いくら説明してもまったく採用して
もらえませんでした。

しかしあるとき、そんな活動を見ていた部長から、
「そういう売り込みじゃなくて、『お客さんのこういう
ところにうちの技術を使えば、こういう素晴らしい製品が
できるのではないでしょうか?』と売り込みなさい。」
と指導されたのです。

そうなのです。
いくら画期的な技術であっても、
「ただ自分の技術を紹介しているだけ」では、
お客さんの反応は
「ふ~ん、だから何なの?」と冷たいものです。

お客さんがホントに欲しい情報は、
「自社の製品がどんなに売れるものになるか?」と
いうことです。

つまり、
「その技術が自分達にどれくらいの利益をもたらして
くれるか?」を、具体的に知りたいのです。

お客さん自身でさえ気付いていない問題点に対して、
自分達の技術を使うことで、それが解決できることを
知ってもらわなければいけないません。

これが問題解決型ビジネス「ソリューション・ビジネス」の
一つなのだと思います。

部長に指摘された売り込み方を始めたところ、
徐々に真剣に話しを聞いてくれるお客さんが出てくる
ようになり、やがて商品開発に結び付きました。

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さて、現在私は鍼灸師として鍼灸院を経営しています。
自分の持っている技術が、どのような症状で困っている方に
どのようにお役に立てるのか?
いつもそれを考えて、時間の許す限り
ほぼ毎日のようにホームページの内容を修正しています。

例えば、「腰痛」でお困りの方がいたとします。
一言に「腰痛」と言っても、
「どこが痛いのかわからない鈍痛」かもしれないし、
「腰の横のところがギューっと痛い」のかもしれません。
あるいは
「ギックリ腰になりそうなキリっとした痛み」かも。

肩コリだってそうです。
「頭痛がするような肩コリ」もありますし、
「肩甲骨のところがギリギリ痛い」ような肩コリだって
あります。

そういう症状の一つ一つを丁寧に、推定される原因と
その鍼灸治療方法を解説しています。

この方法が正しいのかどうなのかはわかりません。

しかし、弊院のホームページをご覧になった方が、
自分の症状と照らし合わせて、何が原因で、またその
症状が軽減できるものなのかどうかを、判断できるように
なるのではないかと思うのです。

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こういう観点でいろんな鍼灸院、接骨院などの同業者の
ホームページを見ていると、よくあるのが
「XX流の鍼により痛くない鍼治療」
「ソフトタッチの無痛整体」
などです。

そして、それらの多くが「あなたの健康に寄与する…云々」
といった漠然とした言葉を添えています。

正直なところ、私も初めはそんな言葉を書いていました。

しかし、どこかいい鍼灸院や整体院がないか、と
探している人から見ると、
『ふ~ん、だから何なの?』
と思われているのではないでしょうか?

その施術を受けることによって、
「自分の症状は、よくなるのか?」
「その施術だったら、どうしてこの症状がよくなるのか?」
「ホントにその施術方法は、自分の症状に合っているのか?」
等々。
こういう重要で欲しい情報が、さっぱり伝わらないのです。

鍼灸院をはじめ、この業界の仕事は、身体に不調を
訴えている人を、できるだけ楽にしてあげることです。

でも、もしその方々が、自分自身の不調の原因がわからず、
そしてどこに行けばその不調を解決してくれるのかが
わからなければ、私達からそれを知らせてあげないと
いけなと思うのです。

鍼灸院は、ソリューション・ビジネスです。

自分達の技術が、どういう人にどう役に立つのかを
その人の立場になって考え伝えなければ、それは
「ただ自分の技術を紹介しているだけ」
となってしまうのです。

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2014年11月23日 (日)

20141123 鍼灸師は手先が器用でないといけない

2009年に21年勤めていた会社を辞めて、
技術者から転職して早いもので6年になろうと
しています。

サラリーマン時代に培っていた知識や技術は、
有難いことにいまでも現在の鍼灸師の仕事に
大変役立っています。

・パソコン作業全般は、お店のホームページ作成に
・社内プレゼンや展示会での説明資料作成は、
 ホームページに掲載する文書に
・展示会でのお客さんへの自社製品の説明は、
 患者さんへの鍼灸治療説明に

こういう知識や技術は、簡単に身に付くものでは
ありませんし、誰かに教えられてできるように
なるものでもありません。
自分で手や頭を使って、何度も失敗しながら得て
いくものだと思います。

その中でも、鍼灸治療に役に立っているのが、
「顕微鏡を使った細かい作業」です。

技術者だった頃、私は新規事業部門の所属し、
担当していたのは、半導体部品の検査装置の開発や、
光通信装置の回路設計などでした。

例えば、試作した基板では、ときに部品の取り換えなども
必要で、1mm程度の部品の半田付けを、顕微鏡を使って
行なわなければいけません。

こういう作業は、手先が震えては到底できません。
ちょっと手を動かしただけで顕微鏡内では大きく動くため、
慎重な手(指先)の動きも必要となります。

さて、
鍼灸治療も同じで、患者さんの身体に鍼を刺す場合、
どの方向に鍼が進んでいるか、どれくらいの深さに
達しているか、そしてそれが目標としている患部に
当たっているかを、頭の中でイメージしながら、
指に伝わってくる感触だけで判断しないといけません。

そして、患部に当たっていなければ、鍼を抜くことなく
数mm単位で方向を変えながら、刺しなおしていく
細かい動き。

こういう指先の動きや、鍼先から伝わってくる
細かい感触は、シャベルを使って穴掘りをするような
身体全体を使った大きな作業ではなく、
顕微鏡を覗きこみながら極めて小さな部品を
半田付けしていた作業にも通じるのです。

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