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2014年5月14日 (水)

20140514 感受性

感受性:外界の刺激や印象を感じ取ることができる働き。
       -デジタル大辞典より-

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鍼治療では、先端の尖った金属(鍼)を皮膚や筋肉に
刺すため、ある程度の刺激を受けることになります。
人の感受性には個人差がありますから、
この鍼の刺激に対して10人いれば10人様の反応があります。

例えば、ちょっと鍼が刺さっただけで、
痛くてそれ以降の鍼をまったく受付けなくなる人。
或いはその逆で、鍼をズズっと深く刺入していっても
それほど感じない人もいます。
人によっては、初めてでも鍼のズーンとする感覚を
気持ちいいと感じることもあります。
これらは患者さんの痛みに対する「感受性」の違いから
生じるものです。

ですから、鍼治療の場合は、患者さんの感受性に
合わせた鍼刺激量を考慮する必要があります。

当院は市街地にあり場所が分かりやすいため、
初めて鍼をうける人(鍼初心者の方)がよく来院されます。
このような「鍼初心者」の方には、鍼治療を始める前に
いろいろとお話をし、鍼ではどのような刺激がくるか、
またそれはどのようなときか、などをお話しています。
その中で、その方がどのくらいの感受性があるのかを
推測して鍼治療を始めています。

例えば、感受性が強いと推測された人には、
細い鍼で浅く刺す低刺激の鍼を行います。
もっと感受性の強そうな人ですと、鍼を刺さずに
当てるだけの治療を行うことも。
さらにもっと感受性が強くて、鍼がどうしても怖い方
には指を鍼に見立てて、鍼をする場所を指尖で押す
「指鍼」を行います。
このように感受性の強い方は、これくらいの
弱い刺激でも十分に症状が改善してきます。

それとは逆に、鍼初心者でも筋肉がキリキリと痛む
ほどになった患者さんには、その筋肉にしっかりと
鍼を当ててズーンとする感覚(得気)が来るほどの
鍼刺激を与えることもあります。
このような患者さんの場合、それまでの痛みが
我慢できないほど強かったこともあり、鍼の刺激が
「気持ちいい」と感じるようです。
同様に、このような方の場合は、強い刺激だったり
鍼を深く刺さないとあまり症状が改善しません。

また、いろんな鍼灸院を受けてから来院される人もいます。
「別の鍼灸院で鍼治療を受けたら、刺激が強すぎて
立てなくなった。」とか、
逆に、「あそこの鍼灸院は刺激が少なすぎて、何にも
ならなかった。」など。

このように、患者さんが10人いれば10人とも、
鍼に対する感受性や経験が違うため、
当院ではいろいろな方法で対応しているのです。

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鍼灸師のあいだでは、
「鍼は強い刺激を与えてはいけない。」
「深く鍼を刺してはいけない。」とか、
反対に
「鍼でしっかりと得気を与えないといけない。」など
という議論がよくあります。

一般の方はご存知ないと思いますが、鍼灸には様々な
流派・術式があって、上記のように鍼刺激に対する考え方が
異なるのは、その鍼灸師の所属する「流派」に依ることが
多いです。
特に、所属する団体の考え方に傾倒している方に、
強くこの傾向があるようです。
一般の方からしたら、まるで宗教対立のように見えるのでは
ないでしょうか。

医師は、インフォームドコンセントによって
事前に患者さんに、どのような術式を行う予定で、
それによりどのような副反応(リスク)が
あるのかをしっかりと説明しています。
患者さんが、観血的治療がどうしても嫌なら保存療法を
提案・選択するでしょうし。
でも、手術でなければ治らないならそれを伝える。
つまり、患者さんの立場にたって、もっともよい手段を
選択しています。

翻って私達鍼灸師がどうでしょう?
「俺の鍼はこういう鍼だ。」とか、「これがいいんだ。」
といった自己満足的な治療方法で、患者さんに施術しては
いないでしょうか?

患者さんが「痛いからやめて」と訴えているのに、
『これじゃないと治らないぞ。』とか。
「患者に聞くのではなく、患者は教育するものだ。」
などと高飛車な態度をとってはいないでしょうか?

自分の所属する流派の考え方云々という考えではなく、
「患者さん」の立場にたって考えてみるとどうなのでしょう?
患者さんによって症状や感受性が異なるわけですから、
「こういう鍼の方法がいいんだ。」という決め付けた考え方は、
患者さんに目が向いていないように思いませんか?
そう、「弱い刺激がいい」とか、「強い刺激でないとだめだ」
といった両者のこの議論には、「患者さん本位」という
一番重要なことが欠けているのように思うのです。

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このようなことを書くと、多くの鍼灸師から、
「おまえは自分の治療に自信がないから、そういうことを
言うんだ。」とか、「その術式への信念がないからだ。」と
言われそうです。
…まぁ、そうなのかもしれません。

しかし、もうちょっと謙虚になって、患者さんのことを
考えてみませんか。
最も重要なことは、「患者さんがその痛みや辛い症状から
解放されて、楽になる最良の方法を選択すること。」では
ないでしょうか。

この業界にはいってしばらく経ちますが、
いつも鍼灸師同士の「内向きな視線」で議論がされている
ように見えてしまいます。
「××してはいけないのです。」などといった、
稚拙な論理で構成されたこういう文章は、
一見患者さんへのアドバイスのように発信されている
ように見えますが、実のところは患者さんに
向けられているのではなく、他の術式をする鍼灸師を
否定・攻撃しているだけの「内向きな視線」によるものに
過ぎないのです。

鍼灸とは縁遠い、異業種であるメーカーの研究開発という、
いつも「お客様」を第一に考えて仕事をしなければ
ならなかった私には、いつも繰り返されるこの議論は、
患者さんを「見ていない」ように思えてしまうのです。

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