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2012年6月13日 (水)

20120613 効用の説明

そのものの効用を説明するには、
聞き手の立場になった言葉でないと、
聞き手は理解できない。

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以前、エンジニアをしていたときに、自分たちが
開発した製品を、展示会や客先で説明することが
ありました。

私が最後に担当した製品は、
「デジタル画像を光信号に変換して、
長距離伝送を可能にしたもの」でした。

何のことだかわからない方もいらっしゃると
思います。
しかし、説明の仕方を変えると、
「デジタル画像の伝送は、いままでで10m伝送が
限界だったけど、それを1km伝送できるように
した装置。」ということです。

どちらの説明が、よくわかるでしょうか?
前者は、「作り手側からの説明」
後者は、「使い手側に立った説明」です。

聞き手、つまり使い手(ユーザー)がわかりやすいのは、
後者のほうだと思います。
ユーザーは、光信号を使うことなどどうでもよくて、
「どういう効用があるか」に興味があるのです。

エンジニアであった私は、「いかに自分が開発した
製品が素晴らしいか」を説明するために、
その構成(光信号を使うこと)を説明しがちでした。

しかし、営業の方と客先に同行し、厳しく指導を受け、
後者のように説明するようにしたところ、
お客さんにもこちらの話をしっかりと
聞いてくれ、商談に進めるようになりました。

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そして現在。

鍼灸治療に来られた患者さんから、
よく「どうして鍼が効くんですか?」という
質問があります。

私はこのとき、患者さんがわかりやすいように
生理学的・解剖学的な話を、たとえ話を使って
簡潔に説明するようにしています。

これは、二天堂鍼灸院の中野先生からの
受け売りなのですが、とても理解しやすい説明です。

この説明をすると、ほとんどの患者さんが
「へぇ~、なるほどねぇ。」と理解してくれます。
そして、鍼治療後にしばらく日が経ってからの
ほうが、より効果を実感できることもわかって
もらえるのです。

鍼灸治療というと、とかく「東洋医学では云々」
とか、「気の流れが云々」などと説明したくなります。
もちろん、それで患者さんが理解できるように
うまく説明ができれば、何も問題ありません。

しかし、東洋医学をよく知らない、気の流れなんて
初めて聞いた、という患者さんに、このような
説明をして、理解してもらうのはとっても難しい
のではないでしょうか?
少なくとも、私のような工学部出身の理屈っぽい人
が相手のときには、難しいと思います。

私は東洋医学での、気血の流れや様々なことを
否定するつもりはありません。
授業でしっかり説明を受ければ、五行色体表なんて、
よく考えられていると驚くほどです。
相変わらず脈診はできませんが、舌診の勉強はしてますし、経穴も全部覚えています。

私がここで言いたいのは、鍼灸の効用を説明するのに、
患者さんが理解できない用語を並べて、
それで説明したつもりになっては
いけない、ということです。

相手(患者さん)の立場にたって、どうして鍼治療が
効くのか?を、患者さんが理解できる言葉を使って
きちんと説明してあげること。
それが、鍼灸師として大切なことだと思うのです。

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私は、妻と二人で鍼灸院を開業して間もないころ、
来院された患者さんからの質問に、習いたての
東洋医学用語を使って説明していました。
おそらく、聞いていた患者さんは、なんのことだか
さっぱり理解できなかったと思います。

エンジニアと鍼灸師、仕事の内容は全く違います。
しかし、人(お客さんや患者さん)に説明するときに
相手の立場に立って、わかりやすく説明することが
重要なことは、両者に違いはありません。

そんな経験の戒めとして、このブログを書きました。

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